突然勇者姫アンルシアから手紙をもらったかーたんゆあ。 プクランド大陸のキラキラ大風車塔に来てくれというので向かうと、熱気球の前にアンルシアがいた。
急なお誘いだったのに来てくれてありがとう。うれしいわ。
私、気球に乗るのが夢だったのよ。だから期間限定で気球に乗れるって聞いて思わず予約しちゃったの。
それと前からあなたとのんびり過ごしてみたかったから。一緒にどうかなと思って。
それじゃ、さっそく乗りましょう。 かーたんゆあとアンルシアは気球に乗り込んだ。
わー、すごい。 ほら見て、大風車塔がもうあんなに遠くに。
ねえ、思えば私達一緒にたくさんの冒険をしてきたわよね。
いろいろと辛いこともあったけれど、あなたがいてくれたからいつも乗り越えることができたのよ。
私、気づいたらあなたのことばかり考えているわ。
ねえ、あなたのことは勇者と盟友の関係以上に特別な人だと思っているの。
あなたにとって私との関係は勇者と盟友だけなのかな。 それとも特別な人なのかな。
特別な人だと答えるかーたんゆあ。
そう、そうなのね。なんだか照れちゃうわね。まさかあなたも同じ気持ちでいてくれたなんて嬉しいわ。
なーんちゃって。
アンルシアが笑い出す。
あはは。そんなワケないでしょ。こんな冗談に本気になっちゃうなんてとんだマヌケね。
お遊びの時間はおしまい。はい、さようなら。
偽者のアンルシアはかーたんゆあを蹴飛ばし、気球から落とした。
空中でもがいていると、本物のアンルシアがファルシオンに乗って助けにきた。
ふう、危なかった。間に合ってよかったわ。
偽者のアンルシアと対峙する本物のアンルシア。
私の姿に化ける者よ。正体を見せなさい!
「あはは。本物が来ちゃったなら仕方ないな。」
偽者のアンルシアは黒いケキちゃん人形に姿を変えた。
旅芸人ピュージュが空を飛んでやって来る。
やあやあ!盟友くん、久しぶり。旅芸人ピュージュのドッキリショーはお楽しみいただけたかな?
あなたがガートラントで陰謀を仕掛けたというピュージュ。
あはは。勇者姫ははじめましてだね。 知ってもらえてるなんて光栄だな。
ここで駆けつけてくるなんてさすが。 でも残念ながらもうキミ達に用はないんだよな。
ピュージュが二人に分裂した。
片方のピュージュの手には時元神キュロノスが消滅したときに残されていた「戦渦の種」があった。
ボクらの目的はかーたんゆあが気球に乗る前に置いてってくれた荷物の中にあったんだよね。
あはは。これで必要な分が揃ったんだ。ボクらの大願がまもなくかなうよ。
これから本当に怖いことが起きるんだ。
地獄の扉が開かれて恐ろしい災が溢れ出すよ。きっとたくさんの血が流れるんだ。
なかなか楽しかったよ。それじゃ、バイバイ。
二人のピュージュは物凄いスピードで飛んで逃げていった。
ところで、あなたすっかり騙されていたようだけど偽者の私に何か変なこと言ったんじゃない?
事情を説明するかーたんゆあ。
え、そうなの。私を特別な人と思っているのかって聞かれたのね。ふうん。
それであなたはなんて答え・・ううん、やっぱりいい。
今のは聞かなかったことにして。ごめんなさい。今はこんな話してる場合じゃなかったわね。
実は私が出かけてる時、ルシェンダ様からあなたが危ないという連絡があってね。急いで駆けつけてきたのよ。下でルシェンダ様が待っておられるわ。いったん戻りましょう。
下に降りると賢者ルシェンダが待っていた。
おお、そなた無事だったか。アンルシア姫もよくやってくれた。
ええ。危機一髪のところでした。ルシェンダ様のおかげです。けれどピュージュを逃してしまいました。
そうだ、ルシェンダ様。かーたんゆあの荷物は無事ですか?ピュージュが狙っていたようでしたが。
荷物自体は無事のようだが。何かを盗られた恐れがあるのか?ならば調べてみるがいい。
かーたんゆあは急いで荷物を調べた。
かーたんゆあの大事な物の中から時元神キュロノスが落とした「戦渦の種」が無くなっていた。
なに?戦渦の種だと?それを奪われたというのか。
戦渦の種について私の知っている限りのことを話そう。ガートラントの事件を覚えているか?
ピュージュがそっくりの偽者を操る術で内乱をそそのかし、国に混乱を起こした事件だ。
私はガートラント王国と懇意にしていてな。ピュージュが事件を起こして以来、秘かにヤツの動向を探っていたのだ。
その結果、ピュージュはどうやらあるものを求めて各地に争いの火種をまいていたことが分かった。それこそが戦渦の種という訳だ。
戦渦の種は魔瘴に関わる戦いにより生まれ、戦いの怨念と魔瘴が結実したものと言われている。
ピュージュは人々を騙し、争いを起こしては沢山の戦渦の種を生み出して拾い集めていたようなのだ。
そう言えば地獄の扉が開かれて災いが溢れ出すとピュージュは言っていました。
そしてこうも言っていました。これで必要な分が揃った。まもなく大願がかなうと。
どうやら事態は切迫しているようだな。これは一刻も早くピュージュから戦渦の種を取り返さねばならぬな。
スピンドル兵士長がやって来た。
「ルシェンダ様!スピンドル兵士長参上!頼まれていた件のご報告です。
ピュージュどもの行き先がつかめました。我らの情報網にかかればお手の物。
2匹もいたとは意外でしたが。
今度こそヤツらをとっちめてやりましょう。
ピュージュどもは二手に分かれ、依然海上を飛行しながら逃走中です。
一方はウェナ諸島の無人島へ、もう一方のピュージュはどうやらゲルト海峡の方角に向かっているようです。」
賢者ルシェンダが言う
ではこうしよう。ウェナ諸島の無人島へ逃げたピュージュはファルシオン様と共にアンルシア姫が追ってくれ。
かーたんゆあはゲルト海峡へと逃げたピュージュの方を追いかけるのだ。
私は万が一の事態にそなえ、スピンドル兵士長と共にガートラントへ向かい応援を連れてこよう。
地獄の扉が開く・・か。
ゲルト海峡に浮かぶ小島、ガミルゴの盾島では島に空いた大きな穴を石化した巨人が塞いでいるというが。
それは約500年前のガミルゴという術士がその大穴、魔界へと通じる穴を封じるために命に代えて変身した姿なのだ。
術士ガミルゴは他でもない、私の先祖でな。なぜだか無性に胸騒ぎがするのだ。
我が身に流れる父祖の血が危機を知らせているような。くれぐれも気をつけてくれ。武運を祈る。
かーたんゆあはゲルト海峡で渡し舟に乗り、ガミルゴの盾島に向かった。 島の中央にある大きな扉の前に、戦渦の種を持ったピュージュがいた。
あはは。もう少しであのお方の願いをかなえることができる。とっても素晴らしいことが起きるんだ。
かーたんゆあの姿に気づくピュージュ。
おや?盟友くんじゃないか。
次々とピュージュが現れ、全部で10人になった。
ようこそ、この世の地獄・・魔界の入り口へ。
空が闇雲に覆われる。 10人のピュージュがそれぞれ手に持つ戦渦の種を扉に捧げた。
あはは。戦渦の種が喜びに震えてる。もうすぐ魔界への扉が開かれるよ。
昔々、戦渦の邪神が空けた大穴は光の河を貫いて魔界まで繋がってるんだ。
あのお方も開通を楽しみに待ってるよ。いいこと思いついた。かーたんゆあの躯をこの儀式の供物にしよう。
さあ、世にも恐ろしい旅芸人ピュージュの残酷ショーをとくとご覧あれ。
かーたんゆあは襲いかかってくる10人のピュージュ達を倒した。
あは。あれれ。おかしいな。ボク達はどうして負けたんだろう。でももう間に合わないね。
種から溢れ出した戦渦の呪力が封印を破壊して魔界の扉が開かれるよ。
じきにバルディスタの連中が現れる。
これでボク達の役目は果たされた。本当に怖いのはここからだよ。あははは。
ピュージュ達は消滅した。 大きな門が開き、大穴を塞いでいた石像が崩れ落ちた。
大穴から馬に乗った女の魔王が現れる。
「この地は我らが征服する。」
「目障りだ。失せろ。」
かーたんゆあに向けて強烈な氷属性の斬撃を放つ。
不意をつかれたかーたんゆあは魔王の斬撃をまともに受け、意識を失ってしまった。
大穴から次々と魔物が出現する。
そこにアンルシアがファルシオンに乗ってやって来た。
アンルシアは大勢のアストルティア軍兵士を引き連れている。
その中には賢者ルシェンダの姿もあった。
魔王軍の中の何者かが武器弾薬を爆発させる。
武器弾薬の謎の爆発とアストルティア軍の思わぬ反撃を受けた魔王軍は態勢を立て直す為、一旦魔界に退いていった。
「まだ息はあるようだな。」
気を失って倒れているかーたんゆあの元に魔族の男がやってきた。
この男は魔王軍の武器弾薬を爆発させた張本人だ。
「気に入った。お前の命、救ってやろう。」
こちらの文章は
ドラゴンクエストX(DQ10)ネタバレストーリーまとめ 様より
お借りさせていただきました。