かーたんゆあたちはマデ神殿に到着。
マデ神殿の扉をクオードが時見の鍵で開けて中に入る。
奥にある部屋の前に行くと、中から声が聞こえてくる。
「引き返せ。この先へ進むこと、看過にあたわず。」
部屋に向かって叫ぶクオード。
何者だ、怪しい奴め!この神殿は我がエテーネ王家のものだ!
「無知蒙昧なるマデ氏族の末裔が王家を名乗るか。無様なり。無様なり。」
「自ら封じた扉を開き、再び時見を請いに来たのであろう。」
「だがぬしらの思い通りにはならん。引き返すのだ。マデ氏族の末裔よ。」
誤解があるみたいね。
時見を求めて来たんじゃないわ。 私達は時獄の迷宮への手がかりがここにあると聞いてやって来たのよ。
「時獄の迷宮・・時の牢獄・・」
「時空の狭間と呼ばれるあの場所を、ぬしはなにゆえ目指すのか。」
時見の箱を破壊するために。
「ぬしらの祖先が生み出したあのおぞましき箱を壊しに行こうと言うのか。」
「面白い。話を聞いてやろう。」
「真っ直ぐ進み我もとへ参れ。」
時見の泉に入ると、見慣れない装置に座っている男がいた。 その男の容姿はキュルルとそっくりだ。
先程の声の主は貴様だな? 魔物・・いや、魔法生物か?
キュレー。
やれやれ、建国の祖の一角たる偉人を相手に無礼極まりない奴だキュレー。
私の名は漂流者キュレクス。エテーネ王国建国の祖たる初代国王レトリウスの大親友だキュレ。
キュレクスだと?つくならもう少しマシな嘘をつけ。700年以上も昔の歴史上の人物だぞ。そもそもキュレクスは人間のはずだ。
私はまごうことなきキュレクス本人。 アストルティアとは異なる世界より来訪した、言うなれば異界生命体だキュレ。 故に人間よりも遥かに長寿キュレ。
かたやレトリウスの子孫は着々と代を重ね、クオード、お前で50代目キュレね。 時見の箱に心を奪われた先王と違い、お前は時見に頼ること無く迫る滅びを上手いこと避けたキュレ。感心感心。
それにしても面白い姉弟だキュレー。 時渡りで別々の世界へ流され、それぞれ異なる時間を過ごしたキュレね。 なるほど。姉と弟で生体継続時間が逆転してるのも納得キュレ。
あなた・・本当にキュレクスなのね。
そう言ってるキュレ。 いい機会だから祖先に都合のいい歴史を吹き込まれたお前達に真の歴史を教えてやるキュレ。 そもそもお前達が宿す時渡りのチカラは私が盟友レトリウスに分け与えたチカラが子々孫々遺伝したものキュレ。
しかし私は人間を見違ったキュレ。 レトリウスがいかに高潔な人物であっても、その子孫まで同様であるとは限らない。 人間とは世代を重ねる生き物だと当時の私は理解していなかったキュレ。 エテーネを築いたレトリウスはとっとと死んでいったキュレ。
残された子や孫は王国の未来を見て欲しいと私を頼ったキュレ。 そうしてエテーネ王国は私の時見を活用し、自然災害や飢饉による危機を回避してみるみる栄えていったキュレ。
しかし最初こそ神のごとく敬っていた私を、祭司達―レトリウスの子孫は欲するままに時見を行うため・・謀ったキュレ。
当時の祭司長は錬金術で作った道具を用いて私から時見の源泉を奪った挙句、マデ神殿ごと私を封印したキュレ。
その後彼らは私の力の源から物言わぬ時見の能力だけを持った存在を生み出して、例の箱―時見の箱に詰めたキュレ。
そして時見の箱と交信出来るのは時渡りの力を受け継ぐ建国王レトリウスの血筋の者のみ。
私達の祖先がそんな酷いことを行っていたなんて・・・ 返せるものならその時見の源泉をお返ししたいのですが、王宮が消えた今となっては失われてしまったかも。
いいや、まだ存在しているキュレ。 この島のどこかからかつて私の一部だった時見の源泉の波動を感じるキュレ。 奪われた時見の源泉はお前達の言葉で言うと球根みたいな形をしているキュレ。心当たりはないキュレ?
球根・・それってもしかして前に主人公と王家の温室に行った時に目にした巨大な球根。 あれがキュレクスさんの時見の源泉かも。
もし時見の源泉を返してくれたなら、お前達が行きたがっている時獄の迷宮へ行けるようにしてやるキュレ。
かーたんゆあ達は軍区画の転送の門から王家の温室に向かった。
ねえかーたんゆあ。この大きな時の球根の親球が時見の源泉じゃないかしら。 以前ここに来た時もこの親球からは時渡りの力にも似た不思議な力を感じたのよ。
その後かーたんゆあ達は苦労して巨大な球根を掘り返し、その球根をキュレクスに届ける。
おお、懐かしいこの波動。 まごうことなき時見の源泉キュレね。 奪われていたものを返されて礼を言うのもおかしな話キュレ。 けれど時見の源泉を奪ったのは遠い祖先の仕業でお前達ではないキュレ。 ここは素直にありがとうを言うキュレ。 では早速いただくキュレ。
キュレクスは時見の源泉を体に取り込んで力を取り戻した。
ブフィー。久方ぶりに真の力を取り戻したキュレ。
かつてない高ぶりを感じるキュレ。700年ぶりの時見を試してみるキュレ。
キュレクスが時見を始める。
見える!時が見える! ・・
エテーネ王国は間もなく滅びる。 お前達は700年の長きにわたり時見を繰り返して来た。 大津波、大飢饉、水没、様々な災厄を避けてきたが、それは運命を歪める事に他ならぬ。 運命を変えるその度に歪みは増大し、回避した幾多の災厄は束ねられより大きな災厄となって牙を剥く。 次なる滅びはこれぞ。
隕石の落下で滅ぶ未来が見えるキュレ。 王都を守る守護障壁があろうとも絶対に防ぎようがないキュレ。 水没する未来を回避した事によってより大きな災厄が襲ってくるキュレ。
クオードがまた癇癪を起こす。
ふざけるな!俺達のやったことが無意味だったとでも言うのか! このペテン師め!お前の時見など誰が信じるものか!
クオードは一人で帰っていった。
やれやれ、せっかちな奴だキュレ。 でもお前達は動じていないキュレね。
あなたが真の時見の使いなら、隕石による滅びをも回避する未来を見せられる。そうですよね? たとえ回避したそばから次の滅びが襲ってきたとしても、私達は黙って滅びを受け入れる訳にはいかない。。
ブッフォフォ。肝の据わった奴だキュレ。 お前からは確かにレトリウスの血を感じるキュレ。 そんなお前には隕石落下を阻止するとっておきの秘策を授けてやるキュレ。 王都キィンベルの中央広場には永久時環と名付けられた砂時計のような構造物があるのを知っているキュレ?
永久時環はただの芸術作品ではないキュレ。 空中に散らばる微量な時渡りの力を抽出し、蓄える機能を備えた装置なのだキュレ。
かつてレトリウスと腹心のユマテルという錬金術師が子孫が起こすであろう過ちを予見して構造したものキュレよ。 あいつらはたいした知恵者だったキュレ。 永久時環を用いれば隕石という災厄さえもどうとでもなろうキュレ。
ただし永久時環を起動させるにはレトリウスの血をひく者―メレアーデよ、お前が資格者の証を身につける必要があるキュレ。 お前からはもっとも強くレトリウスの血を感じるキュレ。 ここを出て右手の通路を進めばマデ氏族の叡智が眠る祭具棟と呼ばれる場所に辿り着けるキュレ。
まず祭具棟へ行って花のリストレットを探し、それを身につけて戻ってくるキュレ。 話の続きはそれからキュレ。
かーたんゆあとメレアーデは祭具棟に向かい、花のリストレットを探し出した。
メレアーデは花のリストレットを身につけ、キュレクスのもとに戻った。
おお、戻ってきたキュレね。 花のリストレットは見つけたキュレね。 早速、永久時環の起動法を伝授するキュレ。 もっと側に来るキュレ。
脳に直接大量の情報を送るからちょっと具合が悪くなるかも知れないけど、じっと我慢して耐えるキュレよ。
そこにマローネが現れた。
私は正しき時の流れの守護者。来るべき未来を妨げんとする者よ。キュロノスの裁きを受けよ。
マローネが時空に亀裂を作ると、そこからキュロノスが姿を現した。
「貴様がキュレクス。我が祖にして同等の能力を持つ個体。」
「なんとちっぽけな。失望を禁じ得ない。」
「なれど貴様の存在を許したとあれば、雑音なき世界を到来させる妨げとなる。」
哀れな。時見を通じ、幾度となく人間達の闇を直視し続けた果てにお前自身が歪んでしまったキュレね。
エテーネルキューブからキュルルが現れた。 どうやらキュルルは寝ていたようだ。
騒がしいキュ!安眠妨害っキュよ!
漂流者キュレクスがキュルルの存在に驚く。
キュレレ?お前は私の・・・
キュルルに気を取られたスキをつかれ、キュロノスが放った光の楔がキュレクスの身体を貫く。
「邪魔者は排除した。」
「残るは時の異分子に協力する同祖の個体のみ。」
「なれど時見すら出来ぬ未熟な個体など手を下すに値せず。」
「我こそは唯一無二の時の支配者。並ぶ者なき究極の存在。」
キュロノスとマローネは姿を消した。
漂流者キュレクスが最後の力を振り絞る。
小さき者よ・・・私の側に・・・
僕の事はキュルルと呼ぶキュ。
お前を見てるとモヤモヤするんだけど、一体何者なんだキュ。
その様子だと私の事はおろか、自分が何者かも理解していないキュレね。
はやく私の手を・・取るキュレ・・・ お前もまた私の力の源から分化した存在・・・
キュルルがキュレクスの手に触れる。
それって親子みたいなものキュ?
親子という概念には当てはまらないキュレ。 私達は同一にして異質なる存在・・・時空の狭間をさすらう異界生命体・・
もう時間がないキュレ・・ キュルル、お前に私の知識と能力の全てを授けるキュレ。
キュレクスがキュルルに力を送る。
キュキュキュ!これは・・この膨大な知識は・・ ・・
そうかキュル。エテーネルキューブが作られた時に使われた時の球根・・ あれが僕に・・
キュレクスの身体は光とともに消えてしまった。
キュルルがキュレクスの死を悲しんでいる。
おかしいキュ。胸が・・胸が苦しいキュ。 シクシクと痛みが消えないキュ。 たった今出会ったばかりの相手に調子を狂わされるなんて理解不能キュ。
すみやかに気持ちを切り替えるキュ。
キュルルが立ち直った。
アイツから受け取った知識に永久時環の起動の仕方があったキュ。 隕石落下の未来を回避したかったら急いだ方がいいキュ。
分かったわ。王都の広場にある永久時環を動かしに行きましょう。
メレアーデは先に一人で走って行ってしまった。
かーたんゆあも時見の泉を出ると、そこに黒猫のチャコルがやって来た。
チャコルは赤白く光り、メレアーデに姿を変えた。
久しぶりね、かーたんゆあ。 悪鬼ゾンガロンに猫の姿にされたでしょ。 あの時ラーの鏡の力で元の姿に戻れたんだけど、猫への変身能力は残っていたの。 その力を使って幾度となくあなたを導いて来たけれど、いつもいつも思わせぶりなことしか言えなくてごめんなさい。
決定的な事を伝えてしまうと、正しい未来への道筋が閉ざされてしまうかも知れないから。 これで最後になるというのに、やっぱりたいしたことは言えないわね。 ひと目でも顔を見れて良かった。
キュルル、あなたもよ。 これから私は最後の役目をまっとうするわ。 この島に生きる全ての民を守り、エテーネの未来を切り開いて見せる。 命に代えても成功させてみせるわ。 それが王家に生まれた者の務めだから。
二人ともさようなら。 願わくば私達の選ぶ道が正しき未来へと繋がっていますことを。
キュロノスを倒して滅びの未来を回避出来たなら、僕達はきっと再会出来るキュ。 かーたんゆあを信じるキュ。 僕達は必ずキュロノスを倒すキュ。
キュロノスを倒したら迎えに来て。 ずっとずっと待っているから。
メレアーデはキュレクスが座っていた装置がある時見の泉へ一人で入って行った。
あいつは全てを知ってしまったメレアーデだったキュね。 メレアーデにならって僕達も成すべき事をまっとうするキュ。 永久時環を動かしに王都へ向かうキュ。
このお話の続きはここから見るッキュ!
エピソード31-5 遥かなる未来への旅路 Ver.4.5へ
こちらの文章は
ドラゴンクエストX(DQ10)ネタバレストーリーまとめ 様より
お借りさせていただきました。